社長インタビュー
代表取締役社長
東野 和之
社長の想い
会社は人の集まり。
社員一人ひとりが他人のことを尊重しつつ、
自分のできることを責任もってやり抜く社風でありたい
代表取締役社長
現在までの経歴は?
私は石川県の出身です。高校までは石川県で過ごし、大学から東京へ移りました。大学では計数工学を学び、大学卒業後に東京で精密機器メーカーに就職し、そこでは血液自動分析装置の開発業務を行っていました。
当社へは2001年(平成13年)7月に入社し、まず製造部で仕事をすることになりました。理系ではありますがそれまでの仕事とは畑違いだったため、当時の製造部長、次長などに話を聞かせてもらいながら、チェーンというもの、またその製造技術を一から勉強しました。
2013年より代表取締役社長という立場となり、取締役や各部門長と協力しながら会社全体の運営を執り行っています。
いままでで印象深い仕事や大変だったことは?
入社時、2001年当時ですが、一番驚いたことは、パソコンが一台もなかったことでした。当時の社長の考え方もあり、報告書はすべて手書きで作成しなければならないなど、パソコンを普及させることが全くできない状態にありました。もちろんEメールも導入されておらず、得意先様からも導入を催促されている状況もあったため、当時の社長を説得しパソコン導入に踏み切りました。合わせて、システム化による社内の効率化を進めることにしました。現在では社内に情報システム部門が設置され、そこを中心にDX化を推進しています。
一方製造部内では、お客様と共同で新製品の開発に参画し、新しいことにチャレンジしてきました。自転車用チェーンでは多段化へ対応するための新しいチェーンの開発、また機械動力伝動用チェーンでは新たなブッシュの開発など、何れも従来の技術では対応できないことばかりでした。お客様、設備メーカーあるいは外注先へ足を運んで何度も技術的な打ち合せを行い、試作、評価試験を何度も繰り返し、みんなが一丸となって、 ようやくお客様の求める品質・コストを満足する製品を作り上げることができました。 この間、お客様からは技術的に多くのご支援をいただくと同時に、多くのことを学ばせていただきました。そこで培われた経験と技術が、今の当社のかけがえのない大きな財産となっています。
和泉チエンの企業風土は?
私が入社した当時は、一人ひとりあるいは部署単位で、人のせいにすることが多い会社であったと思います。 他人や他部署に責任転嫁をしているだけでは、社員個人ばかりでなく会社としての成長はありません。会社は人の集まり。社員一人ひとりが他人のことを尊重しつつ、自分のできることは責任を持ってやり抜く社風に変えようと努力してきましたが、その成果は徐々に表れてきていると実感しています。
社長の思う和泉チエンの強みとは?
それぞれの業界で世界のトップに立つ二つの企業とお付き合いさせていただいていることが当社の一番の強みです。 トップ企業から発信される技術分野、品質管理分野などの最先端の情報は、勉強させられると同時に大きな刺激となっています。またどの分野あるいはどの製品に注力をすべきなのかというしっかりとした理念がトップ企業にはありますので、情報のやりとりを密にしながらお客様の求めていることを汲み取り、 その中で自社の目標を決めていくことができることも、強みであると考えています。
会社の長期的目標とその戦略は?
経営者としては当たり前の事ですが、何より安定して業績を延ばすことを常に意識しています。その成果を従業員や株主などに給与や配当として還元していくことが重要と考えています。そのためには、既存のお客様とより密接な関係を築いていく必要があり、 製品の品質・コスト・納期の面でお客様の要望に応えられるだけの高い技術力を身に付けていく努力を常にしていかなければならないと思っています。その一環として2024年春よりベトナム工場を立ち上げ、製品供給能力アップやコスト面での貢献に加えて、中長期的にはグローバル調達や販売などグローバル化の足掛かりにしたいと考えています。
もちろん新たな事業分野を生み出していければとも常に思っています。まったく違う畑に飛び込むことは難しいので、当社の得意とする技術や今後伸ばしていくことのできる技術から、 新しいものを創造していくことにチャレンジしていきたいと思っています。そのためのヒトと設備への投資は今後も積極的に行っていこうと考えています。
今後どのような和泉チエンを描いているか?
働いている社員がどういう会社であって欲しいのかを常に意識して、一人ひとりが、やりがいを持って働けるような会社であり続けたいと思っています。それには、待遇面はもちろんですが、社風や職場の雰囲気も大切にしていきたいと考えています。人のせいにする社風を、まずは私自身がそれを改める意志を持って行動していくことで、一掃できればと思っています。
過去を振り返ってみると、当社は1991年(平成3年)に過去最高益を達成し、社員も300人以上いたのですが、バブル崩壊後の長引く不況の中で業績が低迷し、 定年退職する人に代わる新たな社員の採用を控えることで、社員を半数以下にまで減らすことになりました。 この間社員を一人も解雇することなく乗り切ったことは、現在の当社の見えない大きな力になっていると思います。2002年(平成14年)頃から業績は徐々に回復し、さすがに人手不足が目立つようになり、2003年(平成15年)から中途採用などによる増員を始めました。 そこから数多くの新卒・中途採用を行ってきましたが、自ら退職した人はごくわずかに留まっています。また晴れて定年を迎えた社員の方も、そのほとんどが雇用延長を希望し、会社に残って働いてくれています。
このことにより社内外から「良い会社」であると言っていただけるのは、大変ありがたく誇るべきところであるのですが、「良い会社」が「強い会社」であるとは限りません。先ほど”世界のトップに立つ二つの企業とお付き合いが当社の強み”とお伝えしましたが、その2社に依存し過ぎる体質になる事は当社にとっても、得意先様にとっても望ましくないと考えています。これからは我々の製造するチェーンの材料である「鋼(はがね)」のような「強靭さ」を身につけていきたいと思っています。
常に気を付けていることや大切にしていることは?
人のせい、周りのせいにしないことです。自分は悪くないと考えるのは極力しないようにしています。 自分の考えが絶対であると思い込み、その考えに固執することは好きではありませんので、黒を白と言いくるめることはしないようにしています。また人と話をした時に、自分の考えが正しく伝わらないことがままあります。自分の言い方や相手の理解不足により、自分の考えている内容が相手に正しく伝わらないことは往々にして起こることです。 一方的にものをいうのではなく、対話を通じて相手に自分の言ったことが理解してもらえているか確認するよう、常に気をつけています。もう一つ、自分が関わったことは最後まで責任をもってやり遂げる、ということを意識するようにしています。
最後に趣味や休日の過ごし方は?
趣味はゴルフと言いたいのですが、この所はラウンドする機会がやや減っているため、スコアがまとまらず悪戦苦闘しています。また通勤電車での往復100分程度の時間には、タブレットを利用して、本を読んだり、様々な情報を収集したり、ゲーム(将棋)をしたりと、プライベートな時間を楽しんでいます。早いもので、当社へ入社して今年で24年目になります。7年前までは単身赴任生活が続き、大阪と東京を行き来していましたが、子供の手も離れ、今は家内、愛犬と一緒に大阪で暮らしています。あと数年もすれば、大阪での暮らしが自分の人生の中で一番長くなるのですが、大阪育ちの人のように、鋭いツッコミや絶妙なボケの修得には至っていません。これからも「日々鍛錬」と考えている、今日この頃です。